神島 | 近くて遠い潮騒の地「神島」を巡る その2【三重県 鳥羽市】

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「ニワの浜」と「カルスト地形」

ここまで漁港から監的哨まではほとんど登りであったが、ここからは海岸へと下って進んでいく。

自然道をゆっくりと下るにつれて、波の音がより大きく響き始めた。潮風が顔に触れるたびにどこかしょっぱい味がする。

どうやら「ニワの浜」へと到着したようだ。

備え付けられた丸太の柵

浜沿いの歩道には、一本一本埋め込まれた丸太の柵がずらっと立ち並び、強い潮風を遮る。

柵のむこうには神島小中学校の運動場があるようだ。

潮風が吹くこの場所では、金属製の柵だと錆びの原因になってしまうため、設置が難しいのだろう。また、浜の景観を維持するという意図もあるのかもしれない。

どちらにせよ、この独特な浜の地形や波のうねり、そして整然と並ぶ丸太を見ていると、まるで合戦の陣地にいるかのような錯覚さえ感じられる。

雨水の浸食で出来た「カルスト地形」

歩道を進み、海岸方向へ目を向けると、茶色い土や木々の緑と紛れて白い岩が飛び出ている。

鳥羽市の天然記念物に指定されている「神島のカルスト地形」だ。

岩に近づく。地表からニョキニョキと生えているように先端になるにつれて細くなり、鉾のような形状をしている。断崖も白い岩のようで、石灰岩の地層だったようだ。

調べてみると、露出した石灰岩が雨水により浸食し削り取られた結果、このような先が尖った形となったそうだ。

自然と天候が生んだ造形だ。

尖った石灰岩の白色は、海や空の青色と合わさり、いいアクセントとなっている。

…白い灯台もそうだけど、青い海原は白い景観と合うんだな。

「合里の浜」と「八畳岩」

生物の形をした「八畳岩」

道なりに進むと、海岸に現れる巨岩の姿。

頭と体としっぽのような生き物のような形をしているな。亀のような…。

合里ごりの浜の「八畳岩はちじょういわ」と呼ばれる岩だそうだ。

…伊良湖の「日出ひいの石門」のような感じにもとれるな。

八畳岩は斧でたたき割ったように真っ二つになりかけていた。

…これも雨水によるものなのか。調べてみると荒波が集中して削り取られたようだ。

カルスト地形と同様に自然が生んだ形状にただ圧倒される。

集落へと戻る道中見つけたものは…

鏡には見えない「鏡岩」

集落方面へ戻っていくと、「鏡岩」と呼ばれる岩があった。

鏡…?普通の岩が佇んでいるようだが。

表面が反射するのかな。見た所、そのような感じには見えないが…。

かつての学び舎「神島中学校」

かつての学び舎であったであろう「神島中学校」の門柱と門札。門札はひび割れているものの、朽ちることなく年月だけが経過している。

1970年、神島中学校は先ほどの「ニワの浜」の近くに移転(旧校舎)、さらに2017年に小学校とも統合し、新校舎へ建て替えられた。

そうなれば、この門札は旧校舎の前の校舎のものということになる。旧校舎もないためさすがに現存はしていないが、残った門札はここに校舎があったという事実だけを示している。

再び神島の集落へ

集落の特徴と島民の方の暮らし

集落へと戻ると、正午過ぎ。3時間ほどは回っただろうか。

高台より集落を見渡す。傾斜な土地に色とりどりの瓦屋根の家々が密集していることから、神島の入り組んだ路地を形成している。

時計台の路地へと戻る。
ここで行き交う島民の方々は、きっと誰もが顔なじみなのだろう。すれ違いざまに挨拶や談笑を交わし、重い荷物があれば手を貸し合う。そうして、お互いを支え合いながら暮らしているようだ。

現代のプライバシー社会とは違い、人と人とが寄り添うような島なのだろう。

「八代神社」へ

そういえば、神社をまだ訪れていなかった。

看板を頼りに神社前へと向かう。生い茂る木々と目を引く白い鳥居。その向こうには幾重もの階段が連なっていた。

…調べてみると200段以上はある。なかなかの段数だが折角なので行ってみよう。

200段越えの神社までの階段

階段を登り、息を切らしながらも第2の鳥居へと到着した。神島を1周した以上の強度に感じる。

神社はこの先だ。

「八代神社」へ到着

八代神社やつしろじんじゃ。斜面の上に鎮座するこじんまりとした神社だ。

海の神「綿津見命わだづみのみこと」を祀り、島民は漁に出る前に豊漁や海の安全を祈願。また、宝物殿には古墳時代の銅鏡などが神宝として収蔵される。

三島由紀夫の小説「潮騒」においても重要な場所として描かれているため、島のスポットとして有名となっている。

…島の小さな神社ながらも、神社の歴史や著名な作品の舞台となると大きな存在に感じる。自分も旅の安全を願っておこう。

「八代神社」階段から見る漁港の景色

参拝を終えて神社を後にし、木々のトンネルを進みながら階段を下る。

最初の白い鳥居の所へ着くと…。

トンネルを抜けると、一気に視界が開けた。

白い鳥居越しに広がる景色は、神島の穏やかな町並みと静かな漁港の美しい景色。

階段を登るのに必死で後ろを振り向かなかったので全く気付かなかった。これほど美しい景色が見らえるとは…。

ふと、思い起こせば、神島到着時に見た看板の「潮騒」の一節にこう書かれていた。

「歌島(神島)に眺めのもっとも美しい場所が二つある。一つは島の頂きちかく 北西にむかって建てられた八代神社である。」

ハッとするような感動を覚える景色であった八代神社の階段からみる漁港。

小説での一節であるが三島自身もこの景色を見て感動を覚えたのだろうか。

おわりに

伊良湖岬から視認できるほどの距離として近い「神島」。しかし、実際に行くとなれば、フェリーや定期船を乗り継がねばならず、どこか遠く感じる。
また、島の人たちの暮らしを覗いてみると、人と人との距離が心地よく近く、どこか昔懐かしい雰囲気が、自分たちが生きる現代社会との遠さをも感じさせる。

娯楽と呼べるものは少ないかもしれないが、穏やかな島での暮らしは反対に本来の人の在り方を感じさせる。「汚れたものはなにもなく、本当の人間の生活がありそうです」と手紙に綴った三島自身も神島のこうした魅力が惹かれたのかもしれない。

アクセス情報

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鳥羽マリンターミナルよりフェリーで行けます(片道:740円

帰りのフェリーについて、券売機は神島にもあるためそちらでも購入できます。

フェリーの便については下記のリンクを参照してください。自分は行きは10時40分、帰りは15時10分の便のフェリーに乗りました。

また、伊良湖からもアクセスも可能のようです

伊良湖観光汽船。詳細は下記のリンクを参照してください。(往復運賃;3500円

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